「潜在意識を変えれば、
人生が大きく変わる」
そんな言葉を聞いたことは
ありませんか?
潜在意識について調べると、
成功や金運との関係を
説明する情報も見つかります。
でも、そもそも潜在意識とは
何なのでしょうか。
潜在意識とは一般に、
自分では意識していない
心の働きを指す言葉です。
ただし、心理学で研究される
無意識の働きと、
何でも願いをかなえる力は
同じ意味ではありません。
今回は歴史を振り返りながら、
その違いを考えてみましょう。
潜在意識はいつから考えられていたのか?
1700年代、ライプニッツの発想
今から300年以上前、
ドイツの哲学者ライプニッツは
興味深いことを考えました。
人間には、自分で気づかない
小さな知覚があるのではないか。
彼は海の波音を例にしました。
私たちは海辺で、
大きな波音を聞きます。
しかし、一つひとつの波の音を
すべて意識しているわけでは
ありません。
ライプニッツは、
こうした小さな知覚が
意識に上らなくても
存在すると考えたのです。
この考えは1704年に
書き上げられた著作に
示されています。
ただし、これは哲学的な考察で、
現代の実験によって
証明したものではありません。
1900年、フロイトの無意識
その後、精神分析で知られる
フロイトが登場します。
彼は、本人が自覚していない
欲望や葛藤が、
感情や行動に影響すると
考えました。
1900年に刊行された
『夢判断』も、
その考えを広めた著作です。
しかし、フロイトの理論と
現代の認知心理学では、
無意識の捉え方が異なります。
歴史的に有名だからといって、
すべてが科学的に
証明されたわけではないのです。
現代心理学では何が分かっているのか?
現代の心理学では、
人が意識していなくても
情報処理や学習が行われる
ことが研究されています。
例えば、自転車に乗るとき。
初めは一つひとつの動作を
意識する必要があります。
しかし、練習を重ねると、
細かな動きを考えなくても
乗れるようになります。
これは学習によって、
動作が自動化される例です。
また、意識的に覚えようと
していなくても、
経験から学ぶことがあります。
このような研究から、
人間の心には、意識的な
注意を必要としない働きも
あることが分かっています。
ただし、それらをすべて
一つの「潜在意識」という力で
説明できるわけではありません。
潜在意識を変えれば人生は変わる?
ここが気になるところですね。
習慣や考え方が変わることで、
行動が変化する可能性はあります。
しかし、潜在意識に働きかければ
金運が上がり、望む出来事が
必ず起こるという主張には、
確かな科学的根拠がありません。
一方で、自分を変えたいと
願う気持ちまで、
否定する必要はないと思います。
大切なのは、
希望を持つことと、
効果が証明されていることを
区別して考えることです。
今日からできる小さな気づき
自分の無意識の働きを
すべて知ることはできません。
それでも、毎日の習慣を
振り返ることはできます。
例えば、こんな質問です。
「私はどんなときに、
いつも同じ行動をするのだろう?」
帰宅したとき。
疲れたとき。
何となく不安を感じたとき。
まずは一つだけ、
自分の行動に気づいてみる。
そこから、習慣や環境を
見直すきっかけが
生まれるかもしれません。
まとめ|潜在意識を知ることは自分を知ること
人間が意識していない
心の働きについては、
300年以上前から
考えられてきました。
そして現代では、
その一部が心理学によって
研究されています。
しかし、まだ分からないことも
数多く残されています。
潜在意識を魔法のような力と
決めつける必要はありません。
反対に、興味を持つことを
否定する必要もないでしょう。
自分がなぜそう感じ、
なぜその行動をするのか。
その疑問を持つことから、
自分自身への理解が
少しずつ深まるのかも
しれません。
参考資料
スタンフォード哲学百科事典:ライプニッツの心の哲学 — 意識されない小さな知覚について。スタンフォード哲学
2022年の研究:19世紀の無意識的推論の歴史 — 実験心理学での発展。
1991年の研究:フロイトから認知科学への無意識研究 — 二つの研究領域の違い。
アメリカ心理学会:無意識的な過程の定義 — 現代心理学での意味。
アメリカ心理学会:潜在学習の定義 — 意識せずに進む学習。